去る、5月27日(日)第51回例会を講師に神奈川県川崎市で開業されている日高豊彦先生をお迎えし、宮城県歯科医師会館にて開催しました。
昨年の12月に続いての来仙となりますが、これまでも何度か仙台にお越しいただいておりますが、継続して講演を聴講できることは非常にありがたいことであり、感謝したいと思います。
今回は、Avoiding Managing Complications in Restorative Dentistry
―修復治療における複雑化の回避とマネージメント―
という演題で講演いただきました。
歯科修復治療の治療結果には、機能性や永続性だけでなく、審美性も強く要求される。また、修復治療を必要とする患者に様々な状況が存在するが、大きく次の6つに分類できる。
1.わずかな咬合の変化を必要としても、基本的に修復治療のみで治療が完結する症例
2.歯冠長の長さ、又辺縁歯肉の位置、形態に問題がある症例
3.咬合に問題があり、従前の咬合位を治療咬合位として利用できない症例
4.歯周組織に問題を生じている症例
5.欠損を有する症例
6.歯の位置に問題がある症例(抄録より)
それぞれの症例で主に選択される治療手段が違ってくるが、今回はそれぞれの症例の解決方法を整理すると共に治療の複雑化を回避し、長期予後を獲得するためのマネージメントおよび、修復材料の選択基準について臨床例を提示され、解説いただきました。
今回は、前回からの続きということで分類の3から始まりました。
どの症例でもドクター、ハイジーン、テクニシャンが治療計画をたてる段階から参加し治療のゴールを共有し、治療にあたる事の重要性を話されました。
どのケースも10~20年をこえる経過を規格性のあるスライドで提示され、大きなトラブルなく永続性が保たれているのは圧巻でした。
先生は、自院のスタッフでインターディシィプリナリーを実践していると話されていましたが、あらためて先生の素晴らしさを再認識しました。
日高先生が講演で話されていた前歯部審美領域のインプラント修復マネージメントにおいて重要なポイントを記しておきます。
審美的な結果を得るためには必要な硬・軟組織と補綴物形態があるとして、それぞれについて詳細に解説していただきました。
① インプラントの頬舌側にはそれぞれ2mm以上の幅の骨が必要
② インプラントの埋入深さは辺縁歯肉から3mm以上根尖側に位置させる
③ インプラントには垂直的に3mm以上の軟組織の厚みが必要であり、審美的結果を継続させるには水平的に2mm以上の軟組織が必要
④ 上部構造の形態は、歯肉縁下はストレートに立ち上げ、縁下0.5~1.0mmから豊隆を与える。そうすることで、インプラント周囲の軟組織の厚みを確保できる
又、協賛企業である、YAMAKIN株式会社から、新しいMTAセメントのTMR MTA CEMENTの商品説明をしていただきました。従来あったものより、水となじみが良く、練和が容易で低コストが売りだそうです。
日高先生より、また呼んでいただき、リクエストがあれば、豚の顎骨を使用して、歯周形成外科やGBR、ブロック骨による骨移植等のデモ、実習も可能であるとおっしゃっていました。
今後も会員の皆様の為になる、例会を企画したいと思いますので御要望等ありましたら、事務局又は理事の先生方の方へ、お声がけください。