2025年12月7日
日本臨床歯科学会東北支部
2025年度第2回学術大会特別講演会
山﨑 長郎 先生
佐々木 啓一 先生
今回は1年以上前から企画されていた特別講演会であり、世界で活躍する日本歯科界のレジェンドお二人の講演を拝聴できるという参加者の期待からたくさんの熱気が、またお二人が並んで座っているという光景に心地よい興奮と緊張も混在する、そのような会場の状況であった。
前半を担当された佐々木啓一先生は、代表的な下顎位や咬合位の定義を再確認しながら、下顎位とは上顎骨との顎間関係で下顎骨の空間的位置を表しており、その動きは6自由度運動を呈す、それに起因する生体のゆらぎからの下顎位・咬合位の不安定性が咬合採得を困難にする、と説いた。
そして19世紀から続く咬合理論の歴史とそれに伴う咬合器の発展を説明することで、今現在我々が日常的に用いる咬合理論がどのように進化してきたかを示した。
また、顎口腔におけるバイオメカニクスの特徴からライトタッピングによる機能的咬合採得法、すなわち生理的下顎位の決定法についてポイントを押さえながら説明した。
後半を担当された山﨑長郎先生は、咬合再構成における力学的原則について、アンテリアガイダンスと咬合平面の2つのファクターに分けてそれぞれの重要性とその成り立ちを示した。
その後、アンテリアガイダンスにおいてその臨床的構築方法について、また咬合高径においてその修正時の問題点と設定方法について説き、それらを実際の臨床でどのように反映させるかを自らのケースを交えながら明確に説明した。
そして今後の歯科界の展望について、ご自身の経験と見解からその思いを述べた。
講演後の質疑応答は改めてお二人にご登壇いただき、シンポジウム形式で行われた。会場の参加者や座長からの質問にお二人がそれぞれ見解を述べられ、またお互いに談笑しながら質問し合う姿もみられた。
佐々木先生の研究的見地に山﨑先生の臨床的見地が相まって、我々が普段から抱えている咬合に対する疑問や不安に一つの道筋が示された、そんな思いのなかで本会は盛況のうちに閉会した。

















