平成27年8月9日(日)に(株)松風 仙台営業所にて第39回例会を開催した。
午前中はオブザーバーの先生を含めた若手の先生が症例報告を行い、午後は杉山副会長が「咬合をマクロに捉える」という演題で講演を行った。
症例発表1 黒河内 修先生
症例 咬合の再構成が検討される下顎臼歯部インプラント症例
主訴は上顎前歯が欠けた。下顎は左側5番6番7番欠損で有床義歯が装着さ、右側は6番欠損の5番7番支台のブリッジが装着されていた。しかし、7番は抜歯となった。下顎左右欠損部はインプラントで補綴予定である。しかし、咬合平面の乱れがあり、咬合の再構成が必要と考えている症例の提示であった。
症例発表2 重光 竜二先生
症例 不安定な咬合位および上下顎歯列弓の不調和に対応した症例
主訴はどこで咬んだらいいかわからない。全身的既往歴で心疾患があり服用薬も多い。上下顎の歯列弓の大きさにかなりの違いがあり、左右同時には咬合接触が得られない。上顎は左右6番7番欠損、下顎は左側4番、右側は6番欠損。治療方針として、上顎にコンビネーションスプリント、下顎欠損にはプロビジョナルブリッジを入れて顎位の安定を図り、その後の最終義歯には一部スプリント形態を付与することにより歯列全体にわたる咬合支持を与えた。
症例発表3 折居 雄介先生
症例 歯冠、歯肉形態の審美的不調和へ対応した症例
主訴は右上1番がコアごと脱離した。上顎両側1番は約10年前に補綴処置した。フェルールが不足しているため、歯冠長延長術が必要であった。今回は先にファイバーポストコアにて築造し、その後外科的歯冠長延長術を行なった。プロビジョナルにて歯肉と歯冠の形態修正を行った後オールセラミッククラウンにて補綴を行った症例。
杉山先生の講演内容
演題:「咬合をマクロ的に捉える」
■上顎の咬合平面の傾きが口唇の傾きを生じる。左右的咬合平面の傾きは咬合平面版で簡単に診断できるので、持っておいた方が良い。
セファロでは咬合平面の前後的傾きと咬合高径を診断することができる。上顎の咬合平面が下顎位に影響を及ぼしている可能性がある。
■咬合治療におけるメタルオーバーレイの応用
8歳男性。咬合高径が低いクラス3級(セファロ分析結果)症例にメタルオーバーレイを使って咬合誘導を行った。
咬合に関する診査は顔面、咬合、歯列、歯の順で診査する。特に上顎の咬合平面の位置、傾きに十分留意し、下顎位との関連を診査することが重要である。