東北SJCDは、平成30年1月21日(日)東京SJCD顧問、おなじみの土屋賢司先生をお迎えし、シロナ仙台支店にて第49回例会を開催した。
【会員発表1 神藤 佑亮先生】
「付着歯肉の喪失を憎悪因子とした根分岐部病変に苦慮している症例」
上下顎にプロビジョナルを装着したが、左下7番に腫脹が生じ左下56欠損の補綴も含めた症例相談
フロアーから
・左下7番はPerも疑われるので、根治をしてから。
・中心位で咬合器付着しプロビジョナルを入れるべき。
土屋先生のコメント
・右の鋏状咬合にもプロビジョナルを入れているので、すでに最小限の治療ではない。手をつける(咬合再構成)かどうかの診査診断は重要。
・左下7番残すかどうかはマイクロ等精査が必要。
・一回スプリントでリセット、右上45は矯正、左下7番に咬合関係を与えて経過をみる。
【会員発表2 黒河内 修先生】
「左側上顎欠損部インプラント希望の患者様の症例相談」
部分入れ歯をインプラントにしたいを主訴、左上3、7番抜歯し3~7欠損部インプラントを検討している症例
フロアーから
・問題点の抽出から考えると治療計画はスムーズにいく。
・左上456番の喪失した原因を考えないとそこにインプラントを入れても同じ結果になる。
土屋先生のコメント
・アンテリアガイダンスとバーティカルストップの調和がないⅢ級傾向で、咬合平面のミスをしやすい。
・上デンチャーの上からスプリントを入れてガイドの軌跡をみて、アンテリアガイダンスができるか少なくとも犬歯誘導に。
・右上3番はGBRが必要だろう。
【会員発表3 斉藤 慶介先生】
「治療相談」
奥歯の歯茎をどうにかしてほしいを主訴、左右下6番の頬側歯肉退縮の相談
フロアーから
・下6番は捻転だけでなく舌側傾斜もしているので、矯正はトルクをかけないといけない。
土屋先生のコメント
・審美的な訴えなければ咬合を変えてはいけないタイプ。
・左右下6番インレーをはずし、レジン等で置き換え捻転を取ると少し歯肉は上がってくると思う。それから根面被覆を考える。
午後【土屋 賢司先生 講演】
「The clinical Guidelines for Successful Restorative Treatment by New Solution Methods」
顎運動の4大決定要素
1,右顎関節
2,左顎関節→後方決定要素
3,歯列→前方決定要素
a)顎運動の上方限界を確立
b)神経筋機構の決定要素を構成
4,神経筋機構による決定要素
a)生理的反応(咀嚼、嚥下、発音)
b)異常反応(ブラキシズム、悪習癖)
現在の決定要素を用いて修復治療が可能な場合は最終修復物の装着等のフローチャートを示された。(図参照)
「How do we manage the tissue and force in restorative treatment?」
Gingival Level とCrown contour は0.何mmかのレベルだが、アンダーなら歯冠側に、オーバーなら歯根側に動く。プロビジョナルにエアーをかけてマージンが見えるならブラックマージンになり、出血するなら論外。ウオッシュは内面、外面も削り調整は茂久田のTKバーが使いやすい。唇側削る際歯肉をエキスカでおさえながら形成する。ブラックトライアングルの寸法を計測しラボに送る。
Force managementとして上部構造の破折はOcclusal height Occlusal plane Occlusal curveを考慮する。天然歯の咬耗はトライアルセラピーつまりプロビジョナルで経過をみるしかない。
審美治療につながるテクニックの話も盛りだくさんだったが、土屋先生は枝葉ではなく幹をしっかり押さえろと繰り返しておられ、顎運動の決定要素によるフローチャートはわかりやすく、新しいメンバーにも大変参考になったと思う。また初めて症例発表された先生には厳しいと思われた部分もあったが、学ぶ点も多い意義深い講演となった。
次回は杉山先生をはじめ、土屋先生の咬合調整に関する内容が予定されて
おり、ご期待下さい。